銘・釜のこと


銘のこと

1月 曙(あけぼの)・幾千代(いくちよ)・幾春(いくはる)・一陽(いちよう)・一興(いっきょう)・祝(いわい)・裏白(うらじろ)・笑窪(えくぼ)・鶴寿(かくじゅ)・亀齢(かめのよわい)・寒牡丹(かんぼたん)・吉兆(きっちょう)・君が代(きみがよ)・銀嶺(ぎんれい)・
慶雲(けいうん)・乾坤輝(けんこんかがやく)・好日(こうじつ)・古今(ここん)・寿(ことぶき)・さざれ石(さざれいし)・三番叟(さんばそう)・七福神(しちふくじん)・末広(すえひろ)・瑞雲(ずいうん)・瑞祥(ずいしょう)・青海波(せいがいは)・千年翠(せんねんのみどり)・早梅(そうばい)・宝袋(たからぶくろ)・玉串(たまぐし)・丹頂(たんちょう)・千代の栄(ちよのさかえ)・常盤の松(ときわのまつ)・友白髪(ともしらが)・長熨斗(ながのし)・茄子(なすび)・初春(はつはる)・福寿(ふくじゅ)・福の神(ふくのかみ)・福笑い(ふくわらい)・不老(ふろう)・蓬莱(ほうらい)・万歳(まんざい)・八千代(やちよ)・佳き日(よきひ)・若菜(わかな)・若水(わかみず)・和心(わしん)
 
2月 梅の香(うめのか)・鶯宿(おうしゅく)・鶯笛(おうてき)・鬼やらい(おにやらい)・貝寄風(かいよせ)・垣根の雪(かきねのゆき)・暁天(ぎょうてん)・梢の雪(こずえのゆき)・東風(こち)・下萌(したもえ)・十八公(しゅうはっこう)・水仙(すいせん)・住吉(すみよし)・清香(せいこう)・雪峰(せっぽう)・袖香(そでのか)・谷渡り(たにわたり)・追儺(ついな)・軒端(のきば)・梅花(ばいか)・梅月(ばいげつ)・花箙(はなえびら)・春告鳥(はるつげどり)・福の神(ふくのかみ)・窓の雪(まどのゆき)・未開紅(みかいこう)・峰の雪(みねのゆき)・宿の梅(やどのうめ)・雪明かり(ゆきあかり)・雪の朝(ゆきのあした)・雪間草(ゆきまのくさ)・立春(りっしゅん)

 

 

3月 青丹よし(あおによし)・曙(あけぼの)・宴(うたげ)・麗らか(うららか)・朧(おぼろ)・思い出(おもいで)・霞(かすみ)・官女(かんじょ)・帰雁(きがん)・客僧(きゃくそう)・曲水(きょくすい)・蛍雪(けいせつ)・五人囃子(ごにんばやし)・佐保姫(さほひめ)・潮干(しおひ)・東雲(しののめ)・巣立ち(すだち)・土筆(つくし)・莟(つぼみ)・摘草(つみくさ)・流雛(ながしびな)・長閑(のどか)・初桜(はつざくら)・花(はな)・花便り(はなだより)・花の影(はなのかげ)・花の宿(はなのやど)・春風(はるかぜ)・春の海(はるのうみ)・春の月(はるのつき)・春の野(はるのの)・光(ひかり)・雛の里(ひなのさと)・雛の宵(ひなのよい)・雛祭(ひなまつり)・雪洞(ぼんぼり)・三井寺(みいでら)・みよし野(みよしの)・桃の花(もものはな)・柳の糸(やなぎのいと)・弥生(やよい)・若草(わかくさ)・蕨(わらび)

 

4月 糸桜(いとざくら)・雲錦(うんきん)・

大堰川(おおいがわ)・朧月(おぼろづき)・陽炎(かげろう)・彩雲(さいうん)・桜狩(さくらがり)・桜川(さくらがわ)・桜見世(さくらみせ)・潮騒(しおさい)・春宵(しゅんしょう)・千代の春(ちよのはる)・天下の春(てんかのはる)・羽衣(はごろも)・花明(はなあかり)・花筏(はないかだ)・花扇(はなおおぎ)・花陰(はなかげ)・花衣(はなごろも)・花ざかり(はなざかり)・花草紙(はなぞうし)・花錦(はなにしき)・花の雫(はなのしずく)・花吹雪(はなふぶき)・花守(はなもり)・雲雀(ひばり)・三吉野(みよしの)・百千鳥(ももちどり)・八重霞(やえがすみ)・夜桜(よざくら)・柳絮(りゅうじょ)・柳色(りゅうしょく)・若竹(わかたけ)・若葉(わかば)

 

5月 青嵐(あおあらし)・青葉(あおば)・一声(いっせい)・大井川(おおいがわ)・落とし文(おとしぶみ)・沢瀉(おもだか)・風薫る(かぜかおる)・唐衣(からころも)・水鶏(くいな)・草笛(くさぶえ)・早乙女(さおとめ)・五月晴(さつきばれ)・颯々(さつさつ)・早苗(さなえ)・山景(さんけい)・菖蒲太刀(しょうぶだち)・新緑(しんりょく)・青新(せいしん)・青々(せいせい)・晴嵐(せいらん)・清流(せいりゅう)・草原(そうげん)・橘(たちばな)・澄声(ちょうせい)・時の声(ときのこえ)・常盤(ときわ)・登鯉(のぼりごい)・八十八夜(はちじゅうはちや)・花橘(はなたちばな)・雲雀(ひばり)・若楓(わかかえで)・若葉(わかば)・若緑(わかみどり)

 

6月 芦笛(あしぶえ)・飛鳥川(あすかがわ)・雨宿
り(あまやどり)・漁火(いさりび)・一滴(いってき)・岩清水(いわしみず)・岩根の水(いわねのみず)・浮舟(うきふね)・
楫枕(かじまくら)・川渡り(かわわたり)・更衣(こうい)・行雲(こううん)・苔衣(こけごろも)・苔清水(こけしみず)・苔筵(こけむしろ)・腰蓑(こしみの)・山雲(さんうん)・白糸(しらいと)・水明(すいめい)・清泉(せいせん)・清涼(せいりょう)・瀬音(せおと)・せせらぎ・泉声(せんせい)・露草(つゆくさ)・笛声(てきせい)・布引(ぬのびき)・深緑(ふかみどり)・蛍(ほたる)・蛍狩(ほたるがり)・蛍舟(ほたるぶね)・御手洗(みたらし)・水馴棹(みなれざお)・麦笛(むぎぶえ)・山清水(やましみず)・湧泉(ゆうせん)・緑陰(りょくいん)
 
7月 浅瀬(あさせ)・天の川(あまのがわ)・打水(うちみず)・団扇(うちわ)・鵜舟(うぶね)・逢瀬(おうせ)・織姫(おりひめ)・河風(かわかぜ)・河瀬(かわせ)・河床(かわどこ)・銀河(ぎんが)・くじ取り(くじとり)・鬮罪人(くじざいにん)・雲の峰(くものみね)・牽牛(けんぎゅう)・笹舟(ささぶね)・さざ波(さざなみ)・沢辺(さわべ)・水琴(すいきん)・瑞星(ずいせい)・涼舟(すずみぶね)・関寺小町(せきでらこまち)・蝉しぐれ(せみしぐれ)・蝉の声(せみのこえ)・滝しぶき(たきしぶき)・滴翠(てきすい)・夏雲(なつぐも)・夏木立(なつこだち)・夏衣(なつごろも)・夏の月(なつのつき)・花氷(はなごおり)・氷室(ひむろ)・星あわせ(ほしあわせ)・星の雫(ほしのしずく)・星の光(ほしのひかり)・星祭(ほしまつり)・祭ばやし(まつりばやし)・祭笛(まつりぶえ)・短夜(みじかよ)・水音(みずおと)・水牡丹(みずぼたん)・山蝉(やませみ)・山彦(やまびこ)・夕涼み(ゆうすずみ)・夕立(ゆうだち)・宵祭(よいまつり)

 

8月 青柿(あおがき)・青瓢(あおふくべ)・朝顔(あさがお)・朝つゆ(あさつゆ)・磯遊び(いそあそび)・岩もる水(いわもるみず)・渦潮(うずしお)・空蝉(うつせみ)・浦風(うらかぜ)・雲海(うんかい)・かくれ家(かくれが)・風一陣(かぜいちじん)・帰帆(きはん)・桐一葉(きりひとは)・木陰(こかげ)・榊(さかき)・里帰り(さとがえり)・汐衣(しおごろも)・滴り(したたり)・忍草(しのぶぐさ)・不知火(しらぬひ)・水月(すいげつ)・清涼(せいりょう)・蝉(せみ)・大文字(だいもんじ)・滝しぶき(たきしぶき)・滝つ瀬(たきつせ)・玉すだれ(たますだれ)・露草(つゆくさ)・露の玉(つゆのたま)・遠花火(とおはなび)・戸無瀬(となせ)・波がしら(なみがしら)・虹の橋(にじのはし)・初風(はつかぜ)・浜土産(はまづと)・風鈴(ふうりん)・芙蓉(ふよう)・星月夜(ほしづきよ)・水花火(みずはなび)・夕顔(ゆうがお)

 

9月 秋扇(あきおおぎ)・秋風(あきかぜ)・秋空(あきぞら)・秋露(あきのつゆ)・秋日和(あきびより)・朝萩(あさはぎ)・有明(ありあけ)・十六夜(いざよい)・落栗(おちぐり)・雁鳴く(かりなく)・閑居(かんきょ)・菊重(きくがさね)・菊寿(きくじゅ)・玉兎(ぎょくと)・金風(きんぷう)・吟風(ぎんぷう)・月華(げっか)・里の秋(さとのあき)・爽やか(さわやか)・柴の戸(しばのと)・秋声(しゅうせい)・俊寛(しゅんかん)・秋天(しゅうてん)・松琴(しょうきん)・鈴虫(すずむし)・聴松(ちょうしょう)・重陽(ちょうよう)・月影(つきかげ)・月の雫(つきのしずく)・月の宿(つきのやど)・野菊(のぎく)・野分(のわき)・萩の露(はぎのつゆ)・花野(はなの)・笛の音(ふえのね)・故郷(ふるさと)・不老(ふろう)・望郷(ぼうきょう)・籬の露(まがきのつゆ)・待宵(まつよい)・虫しぐれ(むししぐれ)・虫の音(むしのね)・望月(もちづき)・夕月夜(ゆうづきよ)・弓張月(ゆみはりづき)・良夜(りょうや)

 

10月 秋晴(あきばれ)・嵐山(あらしやま)・稲雀(いなすずめ)・雲錦(うんきん)・枝柿(えだがき)・落穂(おちぼ)・神楽(かぐら)・唐錦(からにしき)・桐一葉(きりひとは)・錦秋(きんしゅう)・梢の錦(こずえのにしき)・木葉猿(このはざる)・
嵯峨野(さがの)・山景(さんけい)・残菊(ざんぎく)・鹿の声(しかのこえ)・柴舟(しばぶね)・手向山(たむけやま)・
天高し(てんたかし)・栂尾(とがのお)・苫屋(とまや)・乃々宮(ののみや)・初時雨(はつしぐれ)・花すすき(はなすすき)・花錦(はなにしき)・豊穣(ほうじょう)・豊年(ほうねん)・祭笛(まつりぶえ)・みのり・虫の宿(むしのやど)・群雀(むれすずめ)・山里(やまざと)・山紅葉(やまもみじ)・山姥(やまんば)・侘の友(わびのとも)
 
11月 茜雲(あかねぐも)・秋津島(あきつしま)・稲刈(いねかり)・奥山(おくやま)・小倉山(おぐらやま)・落葉(おちば)・神渡(かみわたし)・通い路(かよいじ)・北しぐれ(きたしぐれ)・葛屋(くずや)・朽木(くちき)・小芝垣(こしばがき)・壷中(こちゅう)・小春日(こはるび)・
小男鹿(さおしか)・里時雨(さとしぐれ)・鹿の声(しかのこえ)・敷松葉(しきまつば)・時雨(しぐれ)・下風(したかぜ)・霜枯(しもがれ)・霜柱(しもばしら)・秋霜(しゅうそう)・すすき野(すすきの)・龍田姫(たつたひめ)・錦(にしき)・初霜(はつしも)・福俵(ふくだわら)・深山路(みやまじ)・明鏡(めいきょう)・紅葉狩(もみじがり)・紅葉賀(もみじのが)・夜寒(よさむ)
 
12月 枯野(かれの)・枯葉(かれは)・寒月(かんげつ)・月迫(げっぱく)・去来(きょらい)・氷の花(こおりのはな)・越の雪(こしのゆき)・暦売(こよみうり)・日月(じつげつ)・除夜(じょや)・陣太鼓(じんだいこ)・煤払(すすはらい)・惜年(せきねん)・節季(せっき)・千秋楽(せんしゅうらく)・玉霰(たまあられ)・氷柱(つらら)・歳の市(としのいち)・年忘(としわすれ)・軒の雪(のきのゆき)・初氷(はつごおり)・無事(ぶじ)・冬霞(ふゆがすみ)・冬木立(ふゆこだち)・冬籠(ふゆごもり)・忙中閑(ぼうちゅうかん)・暮雪(ぼせつ)・水鳥(みずとり)・無賓主(むひんしゅ)・和布刈(めかり)・如矢(やのごとし)・雪空(ゆきぞら)・雪の花(ゆきのはな)・雪柳(ゆきやなぎ)・臘月(ろうげつ)

 


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釜のこと

釜の口 


繰(くり)口


輪口

立(たち)口

落(おち)口

矢筈(やはず)口

姥(うば)口

甑(こしき)口

十王(じゅうおう)口

田(た)口

釜の蓋  


一文字蓋

掬(すくい)蓋

掛子(かけご)蓋

神輿(みこし)蓋

微笑(えみよう)蓋

打込(うちこみ)蓋

盛(もり)蓋
   

釜の種類   

[丸系]


真形(しんなり)釜

責紐(せめひも)釜

平(ひら)釜

丸(まる)釜

日の丸釜

切掛(きりかけ)釜

塩屋釜

口四方(くちよほう)釜

阿弥陀堂釜

筋(すじ)釜

提灯釜

柏(かしわ)釜

[肩衝系]


肩衝釜1

肩衝釜2

面取(めんとり)釜

矢筈(やはず)釜
   

[筒系]


達磨堂釜

立鼓(りゅうご)釜

棗(なつめ)釜

肩衝筒釜

富士釜

車軸釜

雲龍(うんりゅう)釜

瓢箪(ひょうたん)釜
 

[角系]


四方(よほう)釜

六角(ろっかく)釜

十文字釜

切子(きりこ)釜

八角(はっかく)釜
 

[その他]


裏(うらごう)釜

茶飯(ちゃはん)釜

平蜘蛛(ひらぐも)釜

鶴首(つるくび)釜

手取(てとり)釜
 

 


 

用語  
芦屋釜(あしやがま) ○筑前国(福岡県)芦屋で鋳造された茶の湯釜の総称。芦屋は東山時代(15世紀中期)から茶の湯釜を製作していた。特徴としては真形(しんなり)で鬼面鐶付(きめんかんつき)、文様に松竹梅、花、馬、山水、霰(あられ)などが多く、薄造りで軽いなどがあげられる。桃山時代以前のものを古芦屋ともいう。

 

霰膚(あられはだ) ○釜膚(かまはだ)の一種で、地膚に粒状の地紋を浮き出させたもの。粒の大小により、大霰、小霰、鬼霰、平霰などと区別される。

 

飾火箸(かざりひばし) ○炭火を扱う金属製の箸の一つ。台子や長板の柄杓立に飾り、炭点前に用いる。柄はつかず、真鍮(しんちゅう)、南鐐(なんりょう)、鉄で作られ、頭部に象嵌(ぞうがん)や透かし彫りなどの装飾が施されている。

 

金風炉(かなぶろ) ○金属製の台子風炉で、唐銅(からかね)製と鉄製の二種類がある。

 

釜蛭釘(かまひるくぎ) ○釣釜(つりがま)を吊るために、炉の真上の天井にとりつける蛭の形をした釘。


 

唐銅(からかね) ○銅と少量の鉛、錫、亜鉛の合金で黒みがかっている。中国から製法が伝わったための呼び名。

 

鐶(かん) ○釜の鐶付に通して釜の上げ下ろしに用いる金属製の輪。鉄、唐銅、銀製などがあり、真鍮製は水屋用とされる。形状は大角豆(ささげ)、蜻蛉(とんぼ)、上張(じょうばり)、(わり)、(ともえ)、(くつわ)などがあり、大鐶は主に釣釜に用いられる。

 

絹膚(きぬはだ) ○釜膚の一種。きめが細かく、なめらかで光沢のある地膚をいう。

 

鬼面鐶付(きめんかんつき) ○釜の鐶付が鬼の顔をしているものをいう。鐶付の代表的な形式になっている。

 

鬼面風炉(きめんぶろ) ○風炉の一種で、鐶付が鬼面になっている。古式の風炉には鐶付のついたものが多い。唐銅製と鉄製があり、代表的なものに鬼面欄干(らんかん≫風炉がある。

 

鎖(くさり) ○釣釜の用具の一つ。広間の天井の蛭釘に吊るして釜を掛ける。南蛮類、小豆類、一重、二重、腰細、九重などの種類がある。

 

轡鐶(くつわかん) ○釜鐶の形式の一つで、馬の轡の形を模して鐶にしたもの。

 

五徳(ごとく) ○炉、風炉の中に据えて釜をのせる小道具。鉄製が多く、炉用は下が輪になっていて全体が大ぶり、風炉用は輪の前部が欠けていて小ぶりで、いずれも三本の柱が立ち上がっている。柱の形で、長爪、笹爪、鴨爪、蝮(まむし)爪などがある。

 

大角豆鐶(ささげかん) ○釜鐶の形式の一つで、大角豆《なだまめ》の形を鐶にしたところから鉈豆(なだまめ)鐶ともいう。

 

砂張(さはり) ○銅を主とし、錫、鉛を加えた合金。さわりともいう。金砂張、銀砂張、南蛮砂張、朝鮮砂張などと名づけられ、黄白色の淡い色合いが喜ばれた。茶の数奇の道具として、建水、花入、水指、干菓子器などに用いられる。

 

錣羽(しころばね) ○釜の胴部についている羽の形が、兜の錣のように丸みを帯びていることから呼ばれる。

 

仕付鐶(しつけかん) ○釜や風炉の鐶が本体にとりつけられているもの。鐶の形状には円形、平形、弓張形などがある。常鐶(じょうかん)、鋳付鐶(いつけかん)ともいう。

 

上張鐶(じょうばりかん) ○釜鐶の一種。鐶付の穴のあき方が通常とは異なる釜に用いる。上張、九輪(くりん)、唐犬(とうけん)、香炉釜などが上張鐶付になっている。

 

真鍮鐶(しんちゅうかん) ○釜鐶の一種で、水屋の箱炭斗に仕組んだり、水屋で釜を扱うときに使う。

 

窠膚(すはだ) ○釜膚の一種。釜の鋳造に際し、とけた銑鉄を鋳型に流し入れるとき、内部に閉じ込められた空気の泡がはじけて、釜の表面に細かい穴を生じているものをいう。

 

素張鐶(すばりかん) ○釜鐶の形式の一つで、鐶の内部を空洞にしたもの。

 

朝鮮風炉(ちょうせんぶろ) ○風炉の一種。切合(きりあわせ)で三つ足、肩が張って、前後に香狭間透かし(こうざますかし)の窓があり、上部の立ち上がりの部分にも透かし文がある。唐銅や鉄製で、真形釜が据えられる。

 

天命釜(てんみょうがま) ○下野国天命(栃木県佐野市)で作られた茶の湯釜の総称。安土桃山時代前期(16世紀中期)から本格的に製作が始まったとされる。特徴は、丸形で無地文が多く、釜膚は豪壮な荒膚、小荒膚、弾膚(はじきはだ)、挽膚(ひきはだ)で、鐶付は遠山、鬼面、獅子が多い。天明とも書く。桃山時代以前を古天命という。

 

巴鐶(ともえかん) ○釜鐶の形式の一つで、三つ巴状の形をした鐶のこと。

 

蜻蛉鐶(とんぼかん) ○釜鐶の形式の一つで、蜻蛉の形を模して鐶にしたもの。曲線状の尾の部分を鐶付に通す。

 

長火箸(ながひばし) ○炭火を扱う金属製の箸の一つ。水屋の箱炭斗に仕組んだり、半田焙烙(ほうろく)に添えて、炭所望や廻り炭之式などに用いる。鉄製が多く、持つ部分は竹の皮で包み、紺の撚糸で巻いてある。

 

鯰膚(なまずはだ) ○釜膚の一種。鯰の膚に似たなめらかな膚をいう。芦屋釜に見られる。

 

南鐐(なんりょう) ○銀の異称で、良質の銀をいう。釜鐶、蓋の摘み、火箸、蓋置、灰匙などに用いられる。

 

羽(は) ○釜の部分で、胴と底の境を取り巻いてついている薄板状の縁のこと。古式の釜には羽のついた羽釜が多い。端とも書く。

 

羽落ち(はおち) ○釜の部分名称。本来の釜は胴と底の間に羽がついているが、五徳に釜を掛けるようになってからは、羽の出っ張りを打ち落としたり、初めから糸状の筋をつけたりしている。この欠損部分を羽落ちと呼び、釜の見所の一つにしている。

 

挽膚(ひきはだ) ○釜膚の一種。地膚に轆轤(ろくろ)の挽目のあるものをいう。釜の鋳型に使う木型のあとがついたもの。

 

火底(ひぞこ) ○釜の底の部分で、火が直接に当たる場所をいう。火受(ひうけ)ともいう。

 

風炉火箸(ふろひばし) ○炭火を扱う金属製の箸の一つ。柄なしで、鉄、南鐐、砂張、素銅を素材にしている。

 

霙膚(みぞれはだ) ○釜膚の一種。地膚の表面に、霙がとけたような斑点があるものをいう。天命釜に多くみられる。

 

虫喰鐶(むしくいかん) ○釜鐶の一種で、虫に食われたような穴をあけてある鉄製の鐶のこと。

 

やつれ風炉(やつれぶろ) ○風炉の一種。鉄風炉の上部の欠けたものをいう。時代物で自然に欠けたものがあるが、侘びた風情をあらわすために意図的に形づくる。欠風炉(かけぶろ)、破れ風呂ともいう。


 

洋銑(ようずく) ○明治時代にヨーロッパから輸入された銑鉄をいう。鉄の分子構造が顆粒状結晶でやわらかいために二次加工にすぐれているが、錆には弱くて地金に穴があくので、耐用年数は50~60年が限度。

 

琉球風炉(りゅうきゅうぶろ) ○風炉の一種。鉄製で切掛釜が据えられる。丸肩で胴部が短く、乳足(ちあし)が長い。欄干の付け根に段があり、前後に香狭間(こうざま)の窓がある。

 

擂座(るいざ) ○茶入の首や胴の周りにつけられている半球形の粒をいい、釜の口辺にもつけられているものがある。

 

炉火箸(ろひばし) ○炭火を扱う金属製の箸の一つで、炉の炭点前に用いる。炉の火熱の伝導を防ぐために桑などで柄をつけている。


 

和銃(わずく) ○砂鉄を原料とする日本古来の銑鉄。酸化被膜が特殊なために、一定の状態まで錆びるとそれ以上は錆びず、表面に美しい光沢がでる。和銑釜は200年から500年くらいの使用に耐える。

 

割鐶(わりかん) ○釜鐶の一つで、円形の鐶一個を縦二つに割って一対にしたもの。相生鐶(あいおいかん)ともいう。